mstk's diary

新聞コラム

春秋 政治家の資質

 「たかだか」と思う一方で、やはりどうしても気になるので書いておく。衆議院議員宿舎の家賃値下げである。東京の真ん中にある3LDK82平方メートル。その家賃が4月から約8000円下がり、月額8万4291円になったという。

▼聞けば付近の相場は4~5倍というから、べらぼうに安い。それだけでも驚きだが、もっと驚いた話がある。がっかりしたと言おうか。衆議院運営委員会小平忠正委員長(民主)が「ルール通りに下げたのだから問題ない」とコメントしたらしい。当方どうやら政治家たるものの資質を買いかぶっていたようだ。

▼ルールは国家公務員宿舎法施行規則にある。宿舎の構造、所在地、部屋の広さによって、建築から5年ごとにいくら家賃を下げるか、事細かに決まっている。きのうきょうの話ではない。賃貸契約書に「5年ごとに◯✕円ずつ値下げする」とうたうような借り手に都合のいいルールが、知られていなかっただけだ。

▼念のため自宅近くの不動産屋へ赴いた。むろんそんな好条件の物件などない。さて、政治家の資質の話だが、「ルール通りに」は最低線、むしろへんてこなルールを疑って正していく才覚こそ求められると思っていた。立法府にいるのはそうした営みをする人々だと……。不明を恥じるばかりである。